ひとり親支援は東京23区でどう違う?|差がつくのは住宅支援と障害手当

公開 2026-08-30/出典は各区公式ページ。2026年8月29日〜30日に各原典で確認

「ひとり親の手当はどこに住んでも同じ」は半分だけ正しい。東京23区すべての公式ページを確認したところ、児童育成手当(東京都の制度)は全区とも児童1人につき月額13,500円で差がありませんでした。一方で住まいへの支援は、家賃助成が月額で出る区(4区)から、専用制度を確認できなかった区(5区)まで開いています。障害手当も22区が月額15,500円のなかで杉並区だけ月額17,000円でした。本記事は離婚をすすめるものでも思いとどまらせるものでもなく、制度の一次データの整理です。

まず全区共通の土台|児童扶養手当と児童育成手当は別物

ひとり親家庭の現金給付は二階建てです。児童扶養手当は国の制度で全国共通、児童育成手当は東京都の制度で、要件を満たせば両方を受け取れます。区で調べるときに名前が似ていて取り違えやすいのはこの2つです。

児童育成手当は23区すべてが児童1人につき月額13,500円で、ここに区の差はありません。所得制限はどの区にもあります(基準額の書き方は区のページで差があります)。

障害手当は22区が15,500円、杉並区だけ17,000円

児童育成手当には、障害のある児童を対象とする障害手当があります。22区は月額15,500円でしたが、杉並区だけは月額17,000円と記載されていました。杉並区のページには「区は都の制度に上乗せしています」といった説明が見当たらないため取り違えを疑い、複数ページで再確認しましたが、17,000円の記載でした。金額差は月1,500円、年間18,000円です。

医療費助成(マル親)の基準形と、割合を書いていない3区

ひとり親家庭等医療費助成(マル親医療証)は、23区のうち20区が「住民税課税世帯は医療費の1割負担(月額・年額の上限あり)、非課税世帯は負担なし」という型を公式ページに明記しています。上限は多くの区で「外来 月18,000円(年間144,000円)・入院 月57,600円(多数回該当44,400円)」です。非課税世帯でも入院時の食事代(食事療養標準負担額)は自己負担となる区が多くあります。

港区は、負担割合の記載が現行ページに見当たりませんでした。「負担すべき額の一部または全部を助成します」とのみ書かれており、制度ページにもFAQにも1割などの割合・上限額の記載がありません。目黒区・世田谷区も「自己負担分の一部(または全部)を助成」という書き方で、割合の明記がありませんでした。この3区については推測で埋めず、区に直接ご確認ください

最も割れるのは住宅支援|月額の家賃補助がある区は4つだけ

23区の住宅支援を型で分けると、次のようになりました。

内容の例
家賃補助(月額型)千代田区・世田谷区・杉並区・足立区(4区)千代田=一律月額57,000円×最長5年/世田谷=上限月4万円の家賃低廉化補助/杉並=25,000円×契約月数(上限30万円・区営住宅優遇抽選の落選世帯対象)/足立=家賃半額(上限5万円)×ひとり親は最長10年
区立住宅(現金補助なし)中央区(1区)区立ひとり親世帯住宅 計15戸(応能家賃)。家賃を現金で補助する制度は確認できず
一時金型(転居費用・保証料)文京区・台東区・江東区・品川区・目黒区・大田区・中野区・北区・荒川区・練馬区・葛飾区(11区)荒川=転居支援補助金 上限40万円(多子世帯45万円)+保証料上限5万円/練馬=転宅支援給付金 上限40万円/中野=上限30万円/台東=転居初期費用 最大15万円+保証料の2分の1/北=転居費用 上限15万円+保証料上限2万円 など
立退き時のみ(金額非公表)渋谷区・江戸川区(2区)立退きを条件に住み替え後の家賃・転居費用の一部を補助。金額はページに記載なし
なし(専用制度を確認できず)港区・新宿区・墨田区・豊島区・板橋区(5区)ひとり親向けの家賃助成・住宅費給付の専用制度は区公式サイトで確認できず

単純化した比較はできませんが、規模感だけ示します。千代田区の家賃助成(月57,000円×最長5年)を上限まで受けると累計342万円、足立区(上限5万円×最長10年)は最大600万円に相当します。専用制度が確認できなかった区との差は、この一項目だけで数百万円規模になり得ます。

ただし「制度がある」と「いま使えるか」は別問題です。千代田区は高齢者・障害者世帯などと共通の制度で所得基準(申告者の所得月額20万円以下など)があり、世田谷区は確認時点で「現在、入居募集中の住宅はございません」との記載、杉並区は区営住宅の優遇抽選に落選した世帯が対象、足立区はセーフティネット住宅の専用住戸で所得基準(年間189万6,000円以下)と戸数の限りがあります。

東京23区の一覧

各区の公式ページを2026年8月29日〜30日に確認した内容です。数値は各区公式ページの記載を確認日時点で転記しています。

児童育成手当(月額)障害手当(月額)医療費助成の自己負担住宅支援の型
千代田区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし家賃補助(月額型)
中央区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし区立住宅(現金補助なし)
港区13,500円15,500円負担割合の記載なし(区に要確認)なし(確認できず)
新宿区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なしなし(確認できず)
文京区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし一時金型
台東区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし一時金型
墨田区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なしなし(確認できず)
江東区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし一時金型
品川区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし一時金型(保証料)
目黒区13,500円15,500円負担割合の記載なし(区に要確認)一時金型(保証料)
大田区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし一時金型
世田谷区13,500円15,500円負担割合の記載なし(区に要確認)家賃補助(月額型)
渋谷区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし立退き時のみ
中野区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし一時金型
杉並区13,500円17,000円課税世帯1割・非課税世帯なし家賃補助(条件つき)
豊島区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なしなし(確認できず)
北区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし一時金型
荒川区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし一時金型
板橋区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なしなし(確認できず)
練馬区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし一時金型
足立区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし家賃補助(月額型)
葛飾区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし一時金型(保証料)
江戸川区13,500円15,500円課税世帯1割・非課税世帯なし立退き時のみ

※非課税世帯でも入院時の食事代等は自己負担となる区が多くあります。上限額・所得制限・支給月などの原文はひとり親支援 東京23区ナビで区を選ぶと表示されます。

住宅支援の詳細(全23区)

制度名内容(区ページの記載)
千代田区家賃補助(月額型)居住安定支援家賃助成「一律月額57,000円(実際の家賃が月額57,000円未満の場合は家賃の実費相当分を助成)(最長5年間)」。
中央区区立住宅(現金補助なし)区立ひとり親世帯住宅晴海ガーデンコート「2DK(52.0平方メートル・6戸・34,000円)」、晴海アーバンプラザ「2DK(55.6平方メートル・9戸・36,000円)」。「世帯の所得金額に応じた応能家賃となっています。」
港区なし(確認できず)ひとり親向け住宅費助成・家賃助成は現行サイトで確認できずひとり親向けの家賃助成・住宅費給付の専用制度は区公式サイトで確認できず(区の説明は区選択で原文を表示)
新宿区なし(確認できず)ひとり親専用の家賃助成なしひとり親向けの家賃助成・住宅費給付の専用制度は区公式サイトで確認できず(区の説明は区選択で原文を表示)
文京区一時金型ひとり親世帯移転費用等助成(ほか住まいの支援4事業)「住環境改善等の理由により区内の民間賃貸住宅へ転居した場合、移転費用及び家賃差額を助成(要件あり)」。具体的な金額はPDF内に記載なし=非公表。
台東区一時金型高齢者等住み替え居住支援制度(ひとり親世帯を対象区分に明記)「礼金・仲介手数料・引越し費用の合計額」を対象に最大15万円を助成(千円未満切り捨て)。あわせて家賃債務保証会社の「初回保証料の2分の1」助成(限度額:単身20,000円/2人30,000円/3人以上40,000円)。
墨田区なし(確認できず)ひとり親向けの家賃助成・住宅費給付の専用制度は区公式サイトで確認できず(区の説明は区選択で原文を表示)
江東区一時金型お部屋探しサポート事業(高齢者世帯・障害者世帯・ひとり親世帯共通の住み替え支援)『前年の所得が基準(2,568,000円)以内の方には、契約が成立したときに、契約金の一部を助成します』。電子申請メニューには契約金助成金交付申請と保証料助成金交付申請があるが、当該ページ本文には具体的な助成上限額の記載はない。
品川区一時金型(保証料)ひとり親家庭住宅入居支援事業初回保証委託料の実費額(上限10万円)を助成
目黒区一時金型(保証料)居住支援制度(家賃等債務保証料の助成)「新規契約時及び初回更新時の保証料の一部(いずれも上限20,000円)を助成します。」
大田区一時金型立退き等に伴う転居費用の助成(大田区転居一時金助成)/家賃等債務保証会社加入費助成転居一時金助成:『礼金・仲介手数料・権利金』の限度額100,000円。家賃等債務保証会社加入費助成:『初回加入費の50%』で『限度額12,000円』。
世田谷区家賃補助(月額型)ひとり親世帯向け家賃低廉化補助事業「本来家賃-公営住宅並み家賃(※)=減額となる金額(上限4万円)」(※住宅の面積、所得金額等によって変わります)。例:家賃月額10万円(共益費等別)、補助額4万円の場合、入居者負担額「月額6万円+共益費等/戸」、区補助金「月額4万円/戸」。「区より賃貸人(家主等)に4万円を補助しますので、入居者が実際に賃貸人(家主等)に支払う家賃額は、月額6万円(共益費等別)となります。」
渋谷区立退き時のみ立ち退きに伴う住み替え家賃補助制度「取り壊しなどにより立ち退きを求められていて、現在住んでいる民間賃貸住宅などから民間賃貸住宅へ区内で転居する必要がある、高齢者・障害者・ひとり親世帯に、住み替え後の家賃・転居一時金の一部を補助します。」(具体的な円建ての金額・補助率はこのページに記載なし)
中野区一時金型中野区ひとり親家庭住宅支援補助金交付事業「負担している対象経費の額(上限300,000円)」。対象経費は「引越にかかる費用、民間賃貸住宅の賃貸借契約に係る礼金、仲介手数料及び前払い家賃」。
杉並区家賃補助(条件つき)家賃助成助成金額:30万円(注)申請年度の途中で、賃貸借契約が終了する場合は、賃貸借契約の期間内で決定します。(25,000円×契約期間の月数)
豊島区なし(確認できず)(ひとり親専用の家賃補助・住宅手当は専用制度なし)ひとり親向けの家賃助成・住宅費給付の専用制度は区公式サイトで確認できず(区の説明は区選択で原文を表示)
北区一時金型障害者世帯及びひとり親世帯転居費用助成/家賃債務保証料助成(1)転居費用助成: 礼金+仲介手数料の合算額を上限15万円まで。(2)家賃債務保証料助成: 上限2万円/戸。
荒川区一時金型ひとり親世帯等民間賃貸住宅入居支援事業/ひとり親家庭等転居支援補助金交付事業(1)保証料補助: 保証料上限5万円、緊急連絡先引受契約料も初回保証料と合わせ上限5万円、更新保証料上限5万円・更新は最大4回。(2)転居支援補助金: 上限40万円(3人以上の児童を扶養する多子世帯は上限45万円)。
板橋区なし(確認できず)ひとり親向けの家賃助成・住宅費給付の専用制度は区公式サイトで確認できず(区の説明は区選択で原文を表示)
練馬区一時金型ひとり親家庭転宅支援給付金(区分上は区独自支援)敷金、礼金、仲介手数料、火災保険料、保証料、鍵交換費用、原状回復費用、引越し費用を対象に、上限40万円
足立区家賃補助(月額型)住宅確保要配慮者専用賃貸住宅の家賃低廉化補助(住宅セーフティネット制度)「月額家賃の半額(1,000円未満切捨て。※ 上限5万円)」。補助対象期間は「ひとり親世帯は最長10年間」。
葛飾区一時金型(保証料)家賃債務保証制度利用助成財団または認定事業者に支払った初回分の保証料(30,000円が限度です。)
江戸川区立退き時のみひとり親家庭民間賃貸住宅家賃等助成非公表

区独自支援で目立ったもの

調べるときに間違えやすいところ

「手当は同じだから区は関係ない」ではない

現金給付(児童扶養手当・児童育成手当)は横並びでも、住宅支援・独自支援は区で違います。転居や住み替えを考える局面では、住宅支援の型(月額型か一時金型か)を先に確認するのが近道です。

「支援なし」の区でも一時金・共通支援はある

本記事で「なし」としたのは、ひとり親向けの家賃助成・住宅費給付の専用制度が区公式サイトで確認できなかったという意味です。ホームヘルプサービスや交通の割引など、住宅以外の支援はどの区にもあります。

募集枠と年度に注意

住宅系の支援は予算・戸数の枠があり、年度の途中で募集が閉じることがあります。足立区の家賃低廉化補助は対象住戸数に限りがあり、募集時期によって申込可否が変わります。制度は年度で変わるため、必ず最新の公式ページと窓口で確認してください。

自分の場合を調べる

ひとり親支援 東京23区ナビで区を選ぶと、手当・医療費助成・住宅支援・区独自支援が出典つきで出ます。離婚後の毎月の収支を数字で見たい場合は離婚後の生活費と養育費のシミュレーションが使えます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 児童育成手当は区によって金額が違いますか?

育成手当は東京23区すべて児童1人につき月額13,500円で、差がありません。一方、障害のある児童が対象の障害手当は22区が月額15,500円で、杉並区だけが月額17,000円でした(2026年8月29日〜30日確認)。区の公式ページの記載にもとづく数字です。

Q2. 児童扶養手当と児童育成手当は同じものですか?

別の制度です。児童扶養手当は国の制度、児童育成手当は東京都の制度で、要件を満たせば両方を受け取れます。本ページで扱っているのは児童育成手当(および各区のひとり親支援)で、金額や所得制限は区の公式ページの記載を転記しています。

Q3. ひとり親家庭の医療費助成(マル親)の自己負担はいくらですか?

23区のうち20区は「住民税課税世帯は医療費の1割負担(上限あり)・非課税世帯は負担なし」という型を公式ページに明記しています。港区は負担割合の記載が現行ページに見当たらず、目黒区・世田谷区も割合の明記がありませんでした。この3区は区に直接ご確認ください。なお非課税世帯でも入院時の食事代は自己負担となる区が多くあります。

Q4. 住宅支援が手厚いのはどの区ですか?

月々の家賃への補助が確認できたのは4区だけです。千代田区は月額57,000円を最長5年、足立区は家賃半額(上限5万円)を最長10年、世田谷区は上限月4万円の家賃低廉化補助、杉並区は25,000円×契約月数(上限30万円)です。ただしいずれも所得基準・対象住宅・抽選落選などの条件があり、誰でも使えるわけではありません。中央区は現金の補助ではなく区立のひとり親世帯住宅(計15戸)を持ちます。

Q5. 住宅の支援がない区に住んでいる場合、何も受けられませんか?

月額の家賃補助が無い区でも、転居費用や保証料への一時金がある区が多くあります。荒川区は転居支援補助金が上限40万円(多子世帯45万円)、練馬区は転宅支援給付金が上限40万円、中野区は上限30万円です。また都営交通の無料乗車券やJR通勤定期の割引、高等職業訓練促進給付金などは多くの区で共通に使えます。

Q6. この情報はいつのものですか?

2026年8月29日〜30日に東京23区すべての公式ページを確認した内容です。数値は各区公式ページの記載を確認日時点で転記しています。制度は年度で変わり、募集枠が閉じることもあるため、利用前に必ず各区の公式ページと窓口でご確認ください。

出典

本記事の数値はすべて各区公式ページの記載を確認日時点で転記したものです。制度は年度で変わるため、利用前に必ず各区の公式ページでご確認ください。区独自支援の出典リンクはツール側で区を選ぶと各制度に表示されます。

出典(各区公式ページ)確認日
千代田区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
中央区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
港区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
新宿区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
文京区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
台東区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
墨田区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
江東区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
品川区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
目黒区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
大田区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
世田谷区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
渋谷区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
中野区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
杉並区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
豊島区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月30日
北区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月30日
荒川区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月30日
板橋区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
練馬区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
足立区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
葛飾区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日
江戸川区児童育成手当医療費助成住宅支援2026年8月29日

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