成婚率はなぜ社によって3倍違うのか|16社の分母と分子を並べた

公開 2026-08-27/出典は公的統計。2026年8月27日に各原典で確認

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「成婚率21.7%」と「成婚率は2人に1人以上」。後者が2倍優秀に見えますが、そうではありません。前者は在籍会員が分母、後者は退会者が分母です。2026年8月27日、結婚相談所とマッチングアプリ16社の公式ページとIR資料を一次確認したところ、成婚率を数値で公表しているのは4社だけで、その4社は分母も分子も集計期間も全部違いました。比較メディアのランキングは、単位の違う数字を大きい順に並べたものです。

16社から2社を選ぶ120通りのうち、そろう組み合わせは0通り

16社を2社ずつ組み合わせると120通りになります。その全部について、指標の種類・分母・分子・集計期間の4つがそろっているかを機械的に照合しました。4つすべてがそろう組み合わせは0通りでした。どの2社を選んでも、少なくとも1つの軸が違います。

いちばん惜しいのは、3つまでそろって1つだけ違う2通りです。

組み合わせそろっていない軸その中身
IBJ(日本結婚相談所連盟/株式会社IBJ) ×
ツヴァイ(株式会社ZWEI/IBJグループ)
分子(何を成婚とするか)婚約 / 連盟内の成婚者数
ペアーズ(株式会社エウレカ) ×
Omiai(株式会社Omiai)
分子(何を成婚とするか)交際+結婚(自社調べ) / 恋人ができた(自己申告)

IBJとツヴァイはどちらも成婚組数という実数を暦年で出していますが、IBJは「成婚=婚約」と定義しているのに対し、ツヴァイの注記は「成婚数:IBJ連盟内での成婚者数」で、成婚そのものの語義は載せていません。ペアーズとOmiaiはどちらも累計人数ですが、ペアーズの「交際・結婚した人」は注記が「自社調べ。」のみ、Omiaiは「退会者のうち『Omiaiで恋人ができた』を選択した方の集計結果より」と集計条件を書いています。そろっているように見える2社でも、分子は違います。

事業者自身が「式で3〜4倍変わる」と書いている

この件でいちばん強い根拠は、比較メディアではなく事業者の側にあります。ツヴァイはオウンドメディアの記事「結婚相談所の成婚率は低い?」(2026年7月11日公開)で、成婚率には2つの計算式があると自ら解説しています。

計算式分母その式で出る値
経済産業省方式調査時点の平均会員数男性8.4%・女性10.1%
業界でよく使われる方式退会した人の全員50〜70%

同じ実態でも、分母を在籍会員にするか退会者にするかで数字は3〜4倍動きます。「成婚率◯%」という数字を見たときに最初に確かめるのは、高いか低いかではなく、どちらの式かです。そして多くの比較記事は、この確認をせずに数字を並べています。

成婚率を数値で公表しているのは4社だけ

結婚相談所9社を調べた結果です。数値・分母・分子はすべて各社の公表文からそのまま引いています。

社名公表している値分母分子(何を成婚とするか)集計期間
IBJ(日本結婚相談所連盟/株式会社IBJ)成婚率=連盟全体としては非公表/成婚組数 20,970組(2025年通期)・うち確認ベース 10,054組―(率ではない)婚約単年(暦年)
IBJメンバーズ(株式会社IBJ直営)成婚率=「2人に1人以上(1/2以上)」退会者婚約単年
パートナーエージェント(株式会社タメニー)成婚率 21.7%在籍会員非公表単年
ツヴァイ(株式会社ZWEI/IBJグループ)成婚率=非公表/成婚組数 3,628組(2025年)―(率ではない)連盟内の成婚者数単年(暦年)
オーネット(株式会社オーネット/IBJグループ)成婚率=公表なし(成婚数No.1の表示のみ)非公表連盟内の成婚者数累計
サンマリエ(株式会社サンマリエ/IBJグループ)1年以内の成婚率 86.3%非公表婚約+それに近い状態2年
naco-do(株式会社いろもの)成婚率=公表なし/「平均6.6ヶ月で婚約」―(率ではない)非公表非公表
スマリッジ(エン婚活エージェント株式会社)成婚率=公表なし非公表結婚の意思確認非公表
ゼクシィ縁結びエージェント(株式会社リクルート)成婚率 25%(「業界最高水準」)非公表非公表非公表

この表の「分母」「分子」「集計期間」は、各社の公表文を読み取ってラベルにしたものです。原文は成婚率そろえて比較で社ごとに表示しています。ラベルは優劣の判定ではありません。

マッチングアプリは成婚率をひとつも出していない

アプリ7社のうち、成婚率を公表している社はゼロでした。代わりに各社が出しているのは累計人数ですが、注記を読むと結婚の確認はしていません

社名公表している値分子の実体(注記のとおり)集計期間
ゼクシィ縁結び(株式会社リクルート)未取得(2026年3月末頃サービス終了)未取得未取得
ペアーズ(株式会社エウレカ)成婚率=公表なし/「ペアーズで交際・結婚した人、累計90万人以上」交際+結婚(自社調べ)累計
with(株式会社エニトグループ)成婚率・結婚率=公表なし/「1日130,000組以上がマッチングしています」マッチング成立単年
Omiai(株式会社Omiai)成婚率=公表なし/「Omiaiで結婚、お付き合いしたカップル 累計400,000人以上」恋人ができた(自己申告)累計
ユーブライド(株式会社Diverse/IBJグループ)成婚率=公表なし/「累計8万人以上」「毎月約500人」相手が見つかって退会累計(13年)
タップル(株式会社タップル/サイバーエージェントグループ)成婚率・結婚率=公表なし/「毎月12,000人のカップルが誕生しています」恋人ができた(自己申告)単年
マリッシュ(株式会社マリッシュ)成婚率=公表なし/「平均4ヶ月で素敵なカップルができています」恋人ができた(自己申告・男性のみ)単年

Omiaiは見出しで「結婚、お付き合いしたカップル」と書きながら、注記の集計条件は「退会者のうち『Omiaiで恋人ができた』を選択した方の集計結果より」です。タップルも同じく退会アンケートの自己申告、マリッシュは「恋人ができた」を選んだ男性のみの集計です。ユーブライドの「累計8万人以上」は2013年7月から2026年7月までの13年分の累計で、分子は「お相手が見つかって退会された会員様」です。単年の率と13年の累計人数を同じ表に並べることはできません。

そろわない軸は4つある

実査でわかった、比較を壊している論点を並べます。すべて各社の公表文から確認できるものです。

1. 分母が「在籍会員」か「退会者」かで、同じ会社でも数字が3〜4倍変わる。

分母が「在籍会員」か「退会者」かで、同じ会社でも数字が3〜4倍変わる。パートナーエージェントは /visitor/method/ で「年間成婚退会者÷年間平均在籍会員数×100」=21.7%(2023年4月〜2024年3月)と出し、/introduce/data/ では「『成婚退会者数』÷『総退会者数』」(2022年10月〜2023年3月)という別定義の成婚率を「業界トップクラス」とだけ書いて数値を載せていない。ツヴァイのオウンドメディアは、経済産業省方式(1年間の平均成婚者数÷調査時点の平均会員数)だと男性8.4%・女性10.1%、業界方式(成婚退会者÷全退会者)だと50〜70%になると自ら解説している。

2. 分子の「成婚」の到達点が社によって違う。

分子の「成婚」の到達点が社によって違う。IBJ/IBJメンバーズは「成婚=婚約」(プロポーズ成功時点)と明記。サンマリエは「婚約・結婚の意思が固まっている状態。もしくはそれに近しい状態で退会すること」で“近しい状態”まで含む。スマリッジは「お互いに結婚の意思が確認できたら成婚」。マッチングアプリ側は結婚まで見ておらず、Omiai・タップル・マリッシュはいずれも退会アンケートで「恋人ができた」を選んだ人の集計、ユーブライドは「お相手が見つかって退会した会員」。いずれも結婚したことの確認はしていない。

3. 集計期間の長さが違う。

集計期間の長さが違う。IBJメンバーズは2025年1〜12月の1年、パートナーエージェントは2023年4月〜2024年3月の1年、サンマリエは2023年1月〜2024年12月の2年、ユーブライドは2013年7月〜2026年7月の13年累計、ペアーズは起点年の記載がない累計。単年の率と13年の累計人数を同じ表に並べることはできない。

4. 率か、実数か、期間かで語り口が分かれる。

率か、実数か、期間かで語り口が分かれる。結婚相談所側は率(21.7%/86.3%/2人に1人以上)、IBJ・ツヴァイは実数(20,970組/3,628組)、naco-doは期間(平均6.6ヶ月で婚約)、アプリ側は累計人数(90万人/40万人/8万人)。指標の種類自体が違うので、そもそも同じ列に置けない。

5. 「1年以内の成婚率」は率の意味が別物。

「1年以内の成婚率」は率の意味が別物。サンマリエの86.3%は分母が明示されていないが、会員データページ(/profile/)では同じ数字が『1年以内に成婚された方の活動期間』という成婚者内訳のグラフとして提示されている。つまり“会員の86.3%が成婚した”ではなく“成婚した人の86.3%が1年以内だった”と読むのが自然。他社の成婚率(会員または退会者を分母にした到達率)と並べると桁が違って見える。

6. 同じ数値でも「確認済み」と「申告」で半分違う。

同じ数値でも「確認済み」と「申告」で半分違う。IBJの決算説明資料は成婚組数20,970組(2025年)に対し、システム上で男女双方の成婚を確認できている『確認ベース』は10,054組(47.9%)と併記している。公表値の約半分は片側入力ベース。

7. 分母の会員数の作り方も各社バラバラ。

分母の会員数の作り方も各社バラバラ。オーネットの「12.1万人」は自社登録会員30,181名+IBJ会員104,859名から重複13,313名を引いた数で、注記に「既に会費の支払いが終了した会員を含む」「一時的に活動を休止中のオーネット会員5,876名を含む」と明記されている。ツヴァイの11.7万人も同じ合算方式(25,949+109,712-18,866)。成婚率の分母を会員数に取るなら、この“会員数”の中身が違う時点で率も比較できない。

8. 「No.1」「業界最高水準」の根拠表示も揃っていない。

「No.1」「業界最高水準」の根拠表示も揃っていない。IBJメンバーズの成婚率No.1は「日本マーケティングリサーチ機構/2024年8月期/主要8社/公開情報および関係者へのヒアリング等」で、同社自身が「実際の数値とは異なる場合がございます」と注記。パートナーエージェントの成婚率No.1は「株式会社DRC調べ2026年5月」。ゼクシィ縁結びエージェントの「業界最高水準」には根拠表示がない。サンマリエの登録会員数No.1は基準時点が2022年12月末。

9. 比較対象そのものが消えることがある。

比較対象そのものが消えることがある。成婚率25%を公表していたゼクシィ縁結びエージェントと、マッチングアプリのゼクシィ縁結びは、2025年11月17日にサービス終了が発表された(アプリは2026年3月末頃、相談所は2026年6月末頃)。過去の比較記事に載っている25%は、すでに存在しないサービスの数字になる。

同じ分母で計算し直すとどうなるか

IBJは成婚率を公表していませんが、成婚組数と会員数の両方を開示しているので、在籍会員を分母にした率を自分で計算できます。1組=2名として計算します。

分子の取り方組数人数会員数109,712名を分母にした率
公表値(片側入力を含む)20,970組41,940名38.2%
確認ベース(男女双方の成婚を確認済み)10,054組20,108名18.3%

同じ会社・同じ年・同じ分母でも、分子の取り方だけで2倍変わります。IBJの決算説明資料の注記は「成婚組数のうち確認ベースとは、IBJグループ内のシステム上で男女双方の成婚を確認できている組数」です。この計算は成婚率そろえて比較のSTEP2で、他社の数字でも試せます。

数字を読むときに気をつけること

「成婚率No.1」は2社で同時に成立する

IBJメンバーズは日本マーケティングリサーチ機構(2024年8月期・主要8社・公開情報およびヒアリング)、パートナーエージェントは株式会社DRC(2026年5月)を根拠にしています。調査会社も時期も対象社数も違うため、両方が同時に成立します。IBJメンバーズの注記には「実際の数値とは異なる場合がございます」と同社自身が書いています。

同じ会社の隣のページで、成婚率の定義が違う

パートナーエージェントは /visitor/method/ で「年間成婚退会者÷年間平均在籍会員数×100」=21.7%(2023年4月〜2024年3月)としています。一方 /introduce/data/ の「成婚率」は「成婚退会者数÷総退会者数」(2022年10月〜2023年3月)で、こちらは数値そのものが載っていません。同じ社名・同じ指標名で、分母も期間も違うものが並存しています。

分母に使う「会員数」の中身も違う

オーネットの12.1万人は自社登録会員30,181名+IBJ会員104,859名から重複13,313名を引いた数で、注記に「既に会費の支払いが終了した会員を含む」「一時的に活動を休止中のオーネット会員5,876名を含む」と明記されています。ツヴァイの11.7万人も同じ合算方式(25,949+109,712−18,866)です。分母を会員数に取るなら、この中身が違う時点で率も比較できません。

数値が画像に埋め込まれていることが多い

パートナーエージェントの21.7%はHTMLのテキストではなく画像の中にあります。オーネット・ツヴァイ・サンマリエもグラフは画像やSVGです。テキスト検索だけで調べると「数値なし」と誤判定します。本記事では画像を取得して読み取ったうえで確認しました。

比較記事に載っている25%は、もう無いサービスの数字

成婚率25%を公表していたゼクシィ縁結びエージェントと、アプリのゼクシィ縁結びは、2025年11月17日にサービス終了が発表されています(アプリ2026年3月末頃・相談所2026年6月末頃)。リクルートのサービス一覧にも両サービスは掲載されていません。

では何を見て選べばいいか

成婚率が比較に使えないなら、代わりに確かめられるのは次の3つです。いずれも「その社が何を公表しているか」という事実で、解釈の余地が小さいものです。

1. 算出方法を公表しているか

調査した16社のうち、成婚率や実績値の算出方法を明記していたのは7社でした。数字の大小より、式を開示しているかどうかのほうが、その社の情報の扱い方をよく表します。

2. 自分の条件に合う会員が実際にいるか

年齢・年収・居住地・希望条件で、実際にどんな相手が登録しているか。多くの社が無料カウンセリングや資料請求で会員データを開示しています。全体の成婚率より、自分の条件での母集団のほうが判断材料になります。

3. 総額でいくらかかるか

入会金・月会費・お見合い料・成婚料の合計です。成婚料は成婚時に別途かかる社が多く、月会費だけを見ると総額を見誤ります。これは公表されている数字なので確認できます。

16社の原文を並べて確かめる

比べたい社を選ぶと、指標の種類・分母・分子・集計期間のどれがそろっていないかを機械的に判定し、各社の公表文と出典をそのまま表示します。順位はつけません。
その成婚率、同じ式で計算されていますか(無料)

今回確認できなかったこと

調べたが取れなかったものを、理由とともに書いておきます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 成婚率が高い結婚相談所はどこですか?

順位では答えられません。調査した16社のうち成婚率を数値で公表しているのは4社だけで、その4社は分母が全部違うためです。パートナーエージェント21.7%は在籍会員が分母、IBJメンバーズ「2人に1人以上」は退会者が分母、サンマリエ86.3%は分母が非公表、ゼクシィ縁結びエージェント25%は算出方法そのものが公表されていません。式が違う数字を大きい順に並べても、優劣は分かりません。

Q2. 成婚率の業界平均は何%ですか?

式によって3〜4倍変わります。ツヴァイのオウンドメディアは、経済産業省方式(1年間の平均成婚者数÷調査時点の平均会員数)だと男性8.4%、女性10.1%、業界方式(成婚退会者÷退会した全員)だと50〜70%になると解説しています。比較メディアではなく事業者自身がこう書いている点が重要です。

Q3. 「成婚」は結婚のことですか?

社によって到達点が違います。IBJとIBJメンバーズは「成婚=婚約」と明記していて、プロポーズ成功時点を指します。サンマリエは「婚約・結婚の意思が固まっている状態。もしくはそれに近しい状態で退会すること」で、婚約に至らない状態も含みます。スマリッジは「お互いに結婚の意思が確認できたら成婚」です。いずれも入籍の確認ではありません。

Q4. マッチングアプリの成婚率はどこで見られますか?

調査した7社のうち、成婚率を公表している社はひとつもありませんでした。各社が出しているのは累計人数で、Omiai・タップル・マリッシュはいずれも退会アンケートで「恋人ができた」を選んだ人の集計です。結婚したことの確認はしておらず、マリッシュは男性のみの集計と注記しています。

Q5. IBJの成婚組数20,970組はそのまま信じていい数字ですか?

IBJ自身が決算説明資料で、このうち「システム上で男女双方の成婚を確認できている組数」=確認ベースは10,054組(47.9%)だと併記しています。公表値の約半分は片側入力ベースです。会員数109,712名を分母に置くと、20,970組(41,940名)なら38.2%、10,054組(20,108名)なら18.3%になります。同じ会社・同じ年・同じ分母でも、分子の取り方だけで2倍変わります。

Q6. 会員数が多い相談所を選べば確率は上がりますか?

会員数の作り方も社によって違うため、単純には比べられません。オーネットの12.1万人は自社会員30,181名+IBJ会員104,859名から重複13,313名を引いた数で、注記に「既に会費の支払いが終了した会員を含む」「一時的に活動を休止中のオーネット会員5,876名を含む」と明記されています。ツヴァイの11.7万人も同じ合算方式です。

Q7. 比較サイトに載っている成婚率25%はどこの数字ですか?

ゼクシィ縁結びエージェント(リクルート)が2024年7月のプレスリリースで公表した数字です。ただし同サービスは2025年11月17日にサービス終了が発表されており、相談所は2026年6月末頃、アプリのゼクシィ縁結びは2026年3月末頃に終了予定です。リクルートのサービス一覧にも両サービスは掲載されていません。

出典

本記事の数値はすべて次の各社公式ページ・IR資料の公表値です。公表値は年度で書き換わり、算出方法も社によって違うため、異なる社の数値をそのまま並べて比べないでください。

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