出産費用の平均はいくら?|「出産費用」と「実際に請求される額」は約7万円違う

公開 2026-08-27/出典は公的統計。2026年8月27日に各原典で確認

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厚生労働省が公表する「出産費用の平均」と、実際に窓口で請求される額は違います。令和6年度(令和6年4月~令和7年3月請求分)の平均出産費用は519,805円ですが、これは室料差額・産科医療補償制度の掛金・その他(文書料やお祝い膳など)を除いた額です。それらを含む妊婦合計負担額の平均は592,907円で、差は約7万円あります。「平均約50万円」という数字だけを見て準備すると足りません。

全国平均:2つの数字

区分全国平均含むもの
出産費用519,805円入院料・分娩料・新生児管理保育料・検査薬剤料・処置手当料
妊婦合計負担額592,907円上記+室料差額+産科医療補償制度掛金+その他

出典:厚生労働省保険局「医療保険制度における出産に対する支援の強化について」令和7年11月20日 第204回社会保障審議会医療保険部会 資料2(p.11 都道府県別グラフ「全国平均」)(2026年8月27日確認)

厚生労働省が公表する『出産費用』=妊婦合計負担額から「室料差額」「産科医療補償制度掛金」「その他」を除いた額。実際に窓口で請求される総額は『妊婦合計負担額』のほう。両者の差は令和6年度で73,102円(592,907-519,805)。

費目別の内訳

正常分娩1件あたりの費目別平均額。上5項目の合計が『出産費用』、室料差額・産科医療補償制度・その他を加えたものが『妊婦合計負担額』。

費目1件あたり平均内容
入院料125,671円妊婦に係る室料、食事料。保険診療に係る入院基本料及び入院時食事療養費は含まない。
分娩料306,327円正常分娩(分娩が療養の給付の対象とならなかった場合)時の、医師・助産師の技術料及び分娩時の看護・介助料。
新生児管理保育料51,887円新生児に係る管理・保育に要した費用。新生児について療養の給付の対象となった場合は含まない。
検査・薬剤料16,308円妊婦(産褥期含む)に係る検査・薬剤料。療養の給付の対象となった場合は含まない。
処置・手当料17,759円妊婦(産褥期含む)に係る医学的処置や乳房ケア、産褥指導等の手当に要した費用。療養の給付の対象となった場合は含まない。
室料差額19,732円妊婦の選定により、差額が必要な室に入院した場合の当該差額。『出産費用』からは除外
産科医療補償制度11,753円産科医療補償制度の掛金相当費用。『出産費用』からは除外
その他40,357円文書料、材料費及び医療外費用(お祝い膳等)等。『出産費用』からは除外
妊婦合計負担額(合計)589,794円直接支払制度の利用の有無にかかわらず、実際に被保険者等又はその被扶養者に請求することとなる実費。
出産費用(室料差額・産科医療補償制度・その他を控除後)517,952円上記から室料差額・産科医療補償制度掛金・その他を除いた額。

令和6年度上半期(令和6年4月~9月請求分) 出典:厚生労働省保険局「出産費用の状況等について」令和6年11月13日 第5回 妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会 資料1-3(p.3「正常分娩の出産費用の状況(費目別)」)

都道府県別の平均出産費用

最も高いのは東京都(648,309円)、最も低いのは熊本県(404,411円)で、差は243,898円あります。同じ正常分娩でも住む場所で1.6倍違うことになります。

都道府県令和6年度令和5年度
東京都648,309円625,372円
神奈川県586,664円568,905円
愛知県534,767円526,123円
埼玉県533,274円518,893円
茨城県531,021円523,316円
千葉県529,835円519,920円
山形県526,472円502,327円
宮城県526,211円523,612円
群馬県525,253円518,987円
富山県516,401円496,186円
兵庫県515,350円501,776円
岐阜県512,685円498,670円
岡山県510,815円499,065円
新潟県509,563円497,999円
長野県509,513円505,052円
栃木県507,736円501,544円
山梨県507,616円499,026円
静岡県507,354円485,857円
広島県503,176円493,700円
石川県495,022円486,130円
大阪府492,842円483,938円
福岡県491,359円480,041円
奈良県489,016円485,887円
滋賀県486,610円476,685円
福島県485,687円480,797円
三重県484,940円479,537円
京都府483,095円471,147円
徳島県481,528円472,816円
愛媛県475,608円469,551円
長崎県475,256円462,083円
島根県473,601円466,464円
岩手県471,547円459,794円
香川県470,825円453,510円
福井県458,688円456,803円
大分県456,710円441,616円
佐賀県453,609円442,980円
北海道453,579円436,972円
山口県451,531円437,806円
鹿児島県446,123円438,316円
秋田県445,027円443,431円
和歌山県443,505円431,294円
宮崎県437,034円431,511円
高知県428,022円427,812円
沖縄県419,897円410,143円
鳥取県419,150円408,952円
青森県418,787円409,426円
熊本県404,411円388,796円

令和6年度の最高は東京都648,309円、最低は熊本県404,411円(差 243,898円)。令和5年度も最高=東京都625,372円・最低=熊本県388,796円で同順。value_r5/value_r4は同じ定義の過年度値、median_r5は令和5年度の中央値、ninpu_goukei_futangaku_r6は令和6年度の妊婦合計負担額(室料差額等を含む)。

推移

全施設・正常分娩の平均出産費用。万円単位の値は第204回医療保険部会資料 p.9 の折れ線グラフのデータラベル。12年間で41.7万円→52.0万円(+10.3万円/+24.7%)。

年度平均出産費用備考
平成24年度41.7万円グラフ表示値
平成25年度42.1万円グラフ表示値
平成26年度43.0万円グラフ表示値
平成27年度44.0万円グラフ表示値
平成28年度44.5万円グラフ表示値
平成29年度44.8万円グラフ表示値
平成30年度45.4万円グラフ表示値
令和元年度46.0万円グラフ表示値
令和2年度46.7万円グラフ表示値
令和3年度47.3万円グラフ表示値
令和4年度482,294円
令和5年度506,540円
令和6年度519,805円

出典:厚生労働省保険局「医療保険制度における出産に対する支援の強化について」令和7年11月20日 第204回社会保障審議会医療保険部会 資料2(p.9「正常分娩の平均出産費用の年次推移」)

施設の種類別

施設種別年度集計範囲平均
全施設令和5年度正常分娩のみ506,540円
公的病院令和5年度正常分娩のみ473,990円
私的病院令和5年度正常分娩のみ524,345円
診療所(助産所を含む)令和5年度正常分娩のみ510,754円
全施設令和6年度上半期(令和6年4月~9月請求分・半年分)正常分娩のみ517,952円
公的病院令和6年度上半期(令和6年4月~9月請求分・半年分)正常分娩のみ481,764円
私的病院令和6年度上半期(令和6年4月~9月請求分・半年分)正常分娩のみ536,671円
診療所(助産所を含む)令和6年度上半期(令和6年4月~9月請求分・半年分)正常分娩のみ523,378円
全施設令和5年度全体(異常分娩を含む)489,802円
公的病院令和5年度全体(異常分娩を含む)427,561円
私的病院令和5年度全体(異常分娩を含む)506,572円
診療所(助産所を含む)令和5年度全体(異常分娩を含む)513,921円

令和5年度・正常分娩の件数は384,613件。正常分娩のみで見ると『私的病院>診療所>公的病院』の順だが、異常分娩を含む全体で見ると診療所(513,921円)が私的病院(506,572円)を上回り順位が入れ替わる。どちらの集計かの明示が必要。

数字を読むときの注意

「出産費用」と「妊婦合計負担額」を混ぜない

ニュースやまとめ記事で「平均約50万円」とされているのは前者です。実際に請求される総額は後者で、平均で約7万円多くなります。準備する金額を考えるときは後者で見てください。

施設種別の順位は集計範囲で入れ替わる

正常分娩だけで見るか、異常分娩を含む全体で見るかによって、私的病院と診療所の順位が入れ替わります。どちらの集計かを確かめずに比較すると、資料どうしで矛盾した記述になります。

年度の粒度が3種類ある

公表資料には通年・上半期・単月の値が混在しています。本記事では表ごとに集計期間を明記していますが、他の資料と突き合わせるときは期間が揃っているかを先に確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 出産費用の平均はいくらですか?

令和6年度(令和6年4月~令和7年3月請求分)の全国平均は519,805円(正常分娩・全施設)です。ただしこれは室料差額・産科医療補償制度の掛金・その他(文書料やお祝い膳など)を除いた額で、厚生労働省が「出産費用」と呼んでいる数字です。実際に窓口で請求される総額にあたる「妊婦合計負担額」の平均は592,907円で、約7万円多くなります。

Q2. 出産費用がいちばん高い都道府県はどこですか?

令和6年度の平均出産費用が最も高いのは東京都で648,309円、最も低いのは熊本県で404,411円です。差は243,898円で、同じ正常分娩でも約1.6倍の開きがあります。令和5年度も最高が東京都、最低が熊本県で順位は変わっていません。

Q3. 出産費用は上がっていますか?

上がっています。平成24年度の41.7万円から令和6年度の519,805円まで、12年間で約10.3万円(約24.7%)増えました。円単位の値が公表されているのは令和4年度以降で、それ以前は資料のグラフに万円単位で示された値です。

Q4. 公立の病院のほうが安いのですか?

令和5年度・正常分娩の平均では、公的病院473,990円、私的病院524,345円、診療所510,754円で、公的病院が最も低い結果でした。ただし異常分娩を含む全体で見ると診療所と私的病院の順位が入れ替わります。比較するときは、どちらの集計範囲かを確かめてください。

Q5. 帝王切開や無痛分娩だといくらかかりますか?

帝王切開は異常分娩として医療保険が適用されており、診療報酬点数(緊急22,200点・選択20,140点、1点10円)にもとづく自己負担になります。高額療養費制度の対象にもなります。無痛分娩は確認日時点で保険適用されておらず自費です。無痛分娩費用の全国平均を示す公的統計は存在せず、施設ごとの公表を確認する必要があります。

Q6. 出産費用は保険適用になるのですか?

出産費用そのものの保険適用ではありませんが、令和8年法律第31号(令和8年5月29日成立・6月5日公布)で出産育児一時金を廃止して現物給付に切り替えることが決まっています。分娩1件あたりの基本単価を国が設定し、保険者から施設へ直接支払われる仕組みです。ただし施行日は公布後2年以内に政令で定めるとされ、単価も現金給付額も確認日時点で未定です。

出典

本記事の数値はすべて次の公的統計の公表値です。統計ごとに調査の対象・周期・母集団が違うため、異なる統計の数値を掛け合わせないでください。

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