出産育児一時金は500,000円|内訳と受け取り方、そして廃止が決まっていること
公開 2026-08-27/出典は公的統計。2026年8月27日に各原典で確認
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出産育児一時金は原則500,000円です(令和5年4月~(2026年8月27日時点で現行))。内訳は本人への支給分488,000円と、産科医療補償制度の掛金分12,000円に分かれます。そしてこの制度は廃止が既に法律で決まっています。令和8年法律第31号が令和8年5月29日に成立・6月5日に公布され、一時金を現物給付へ切り替えることになりました。ただし施行日も新しい単価も、確認日時点で未定です。
金額と内訳
| 区分 | 金額 |
|---|---|
| 出産育児一時金(原則) | 500,000円 |
| うち本人支給分 | 488,000円 |
| うち産科医療補償制度の掛金分 | 12,000円 |
| 減額される場合 | 488,000円 |
産科医療補償制度に未加入の医療機関等での出産、または加入機関であっても在胎週数22週に達しない出産の場合は48.8万円
出典:厚生労働省保険局「医療保険制度における出産に対する支援の強化について」令和7年11月20日 第204回社会保障審議会医療保険部会 資料2(p.7「出産育児一時金について」)/厚生労働省「出産育児一時金等について」/全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産育児一時金」(2026年8月27日確認)
受け取れる条件
- 出産した時点で日本の公的医療保険に加入していること
- 妊娠4か月(85日)以上での出産であること
- これらを満たせば出産方法・出産場所を問わず支給対象(早産・死産・流産・人工妊娠中絶を含む)
出産の方法や場所は問われません。早産・死産・流産・人工妊娠中絶であっても、妊娠4か月(85日)以上であれば支給の対象になります。
改定の履歴
創設は平成6年10月で、30万円から始まりました。直近の改定は令和5年4月の42万円から50万円への引き上げで、13年ぶりの大幅な増額でした。
| 時期 | 改定前 | 改定後 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 平成6年10月 | — | 300,000円 | 出産育児一時金の創設(分娩費・育児手当金を廃止して創設)。分娩介助料(国立病院の平均分娩料26.4万円)等を勘案 |
| 平成12年医療保険制度改革 | 300,000円 | 300,000円 | 30万円を据え置き |
| 平成18年10月 | 300,000円 | 350,000円 | 国立病院機構等における平均分娩料34.6万円(平成17年3月)を勘案 |
| 平成21年1月 | 350,000円 | 380,000円 | 産科医療補償制度の掛金分3万円を上乗せ |
| 平成21年10月 | 380,000円 | 420,000円 | 全施設の平均出産費用約39万円(平成19年9月)を勘案。平成23年3月までの暫定措置。あわせて直接支払制度を導入 |
| 平成23年4月 | 420,000円 | 420,000円 | 原則42万円を恒久化 |
| 平成27年1月 | 420,000円 | 420,000円 | 総額42万円は据置き。本人分39万円→40.4万円、産科医療補償制度掛金3万円→1.6万円に引下げ |
| 令和4年1月 | 420,000円 | 420,000円 | 総額42万円は据置き。本人分40.4万円→40.8万円、産科医療補償制度掛金1.6万円→1.2万円に引下げ |
| 令和5年4月 | 420,000円 | 500,000円 | 13年ぶりの増額。本人分40.8万円→48.8万円。全施設の平均出産費用約48万円(令和4年度の推計額。室料差額・その他・産科医療補償制度掛金を除く)を勘案 |
出典:厚生労働省保険局「医療保険制度における出産に対する支援の強化について」令和7年11月20日 第204回社会保障審議会医療保険部会 資料2(p.8「出産育児一時金の経緯」)
受け取り方は3つ。ただし自分では選べないことがある
直接支払制度
直接支払制度。出産施設(病院など)が被保険者に代わって保険者に出産育児一時金の支給申請を行い、保険者から出産施設に一時金が直接支払われる仕組み。事前に保険者へ申請する必要はなく、出産施設との間で「直接支払制度利用に係る合意文書」を作成・発行する。窓口では出産費用の総額から一時金の額を差し引いた残額のみを支払う。費用総額が一時金の額を下回る場合は保険者から差額が支給される。
受取代理制度
受取代理制度。被保険者が自ら保険者に出産育児一時金の支給申請を行い、出産施設が被保険者に代わって一時金を受け取る仕組み。出産前に保険者から支給申請書を取得し、出産施設に受取代理欄を記入してもらったうえで、保険者に提出しておく必要がある。
受取代理制度を導入できるのは、年間の平均分娩取扱件数が100件以下の診療所・助産所や、収入に占める正常分娩に係る収入割合が50%以上の診療所・助産所を目安として、厚生労働省へ届出を行った施設。つまり小規模施設向けの制度で、どちらを使えるかは出産する施設によって決まる(本人が選べるわけではない)。協会けんぽでは受取代理の申請は出産予定日まで2か月以内の人に限られる。直接支払制度を利用できるかどうかも施設によって異なるため、施設への確認が必要。なお直接支払制度の実施要綱上、前々年度1年間(3月最終週は翌年度扱い)に支払機関が受け付けた専用請求書の件数が21件以上の病院・診療所・助産所は、直接支払制度を利用する場合『出産なび』での出産費用等の情報公表を行うこととされている。つまり受取代理を使えるかどうかは、本人ではなく出産する施設で決まります。
償還払い制度
償還払い制度。被保険者が自ら保険者に申請し、自ら支給を受け取る仕組み。出産施設の窓口でいったん出産費用を全額支払う必要がある。
帝王切開・無痛分娩の扱い
帝王切開は『異常分娩』として既に医療保険が適用されている(療養の給付)。厚生労働省の資料でも「既に保険適用されている異常分娩」と明記されている。手術は診療報酬点数表 K898 帝王切開術で算定され、令和6年度改定時点で 緊急帝王切開 22,200点、選択帝王切開 20,140点、複雑な場合は2,000点を加算(1点=10円、患者は原則3割負担)。ほかに帝王切開術時麻酔加算700点等がある。出産育児一時金は出産方法を問わず支給されるため、帝王切開でも原則50万円が支給される。ただし保険診療となった部分は直接支払制度の『出産費用』の費目には含まれず、別途一部負担金がかかる。
帝王切開など保険診療となった部分は高額療養費制度の対象。医療機関の窓口で支払う(保険適用の)医療費が自己負担限度額を超えた場合、超えた額が支給される。一方、正常分娩の分娩料、無痛分娩の費用、室料差額(差額ベッド代)、お祝い膳等のアメニティ費用は保険適用外のため高額療養費の対象外。なお高額療養費制度は令和8年8月から見直し(所得区分の細分化・年間上限の新設等)が施行されており、区分ごとの具体的な自己負担限度額は本調査では未取得。
無痛分娩は2026年8月27日時点で保険適用されていない(自費)。厚生労働省の検討会・社会保障審議会医療保険部会では『標準的な出産費用』の範囲に無痛分娩を含めるか、保険適用とするかが議論されている段階で、結論は出ていない。費用は施設ごとに設定され、厚生労働省の『出産なび』では各施設が「無痛分娩に要する費用」を院内掲示等で公表することとされている。無痛分娩の実施率は令和5年度で13.8%(第201回医療保険部会資料)。令和2年医療施設静態調査では8.6%だった。
制度は廃止が決まっている(施行日は未定)
【決定済み】健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)が令和8年5月29日に成立、令和8年6月5日に公布された。この法律により『出産に係る給付体系の見直し』が行われる。内容は、(1)出産育児一時金に代わる給付方式の導入=保険診療以外の分娩の「分娩1件当たり基本単価」を国が設定し(全国同水準・施設の体制/役割等を評価した加算あり)、保険者から施設へ直接支給する現物給付とすることで、出産の標準的な費用に妊婦の自己負担が生じないようにする。(2)これとは別に、保険診療の一部負担金など出産時の費用負担軽減のため、全ての妊婦に定額の現金給付を行う(金額は政令事項)。(3)施設が提供するサービスの内容・費用等に関する情報提供を義務付ける(見える化の徹底)。施行期日は『公布後2年以内に政令で定める日』(=遅くとも令和10年6月4日まで)で、2026年8月27日時点で具体的な施行日は未定。給付水準(基本単価)は告示事項、現金給付の額は政令事項で、いずれも金額は未確定。また、施設の選択により当分の間は施設単位で現行の出産育児一時金の適用を受けることも可能とされ、新たな仕組みには準備の整った施設から順次移行する。あわせて妊婦健診についても、国が『望ましい基準』内の検査の実施に係る『標準額』を定める等の改正が母子保健法に規定された(こども家庭庁所管)。なお、この見直しの起点は『妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会』の議論の整理(令和7年5月14日公表)で示された『令和8年度を目途に、産科医療機関等の経営実態等にも十分配慮しながら標準的な出産費用の自己負担無償化に向けた具体的な制度設計を進める』という方針。
出典:厚生労働省「健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)の概要」
いま妊娠中の方がすぐに影響を受けるわけではありません。施行日は公布後2年以内に政令で定めるとされており、確認日時点では決まっていないためです。施設は当分の間、現行の出産育児一時金を選ぶこともできるとされています。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 出産育児一時金はいくらもらえますか?
原則500,000円です(令和5年4月~(2026年8月27日時点で現行))。内訳は本人への支給分488,000円と、産科医療補償制度の掛金分12,000円に分かれます。産科医療補償制度に未加入の医療機関等での出産、または在胎週数22週に達しない出産の場合は488,000円になります。
Q2. 流産や死産でも受け取れますか?
受け取れます。支給の要件は、出産時に公的医療保険に加入していることと、妊娠4か月(85日)以上であることの2点で、出産の方法や場所は問われません。早産・死産・流産・人工妊娠中絶も対象です。
Q3. 直接支払制度と受取代理制度はどちらを選べばいいですか?
多くの場合、本人が選べるものではありません。受取代理制度を導入できるのは、年間の平均分娩取扱件数が100件以下の診療所・助産所などで、かつ厚生労働省に届出をした施設に限られます。つまり出産する施設がどちらの制度を採っているかで決まります。届出施設の一覧は厚生労働省のサイトに掲載されています。
Q4. 出産費用が一時金の50万円を超えたらどうなりますか?
直接支払制度を使っている場合、超えた分を退院時に窓口で支払います。逆に出産費用が50万円を下回った場合は、差額を保険者に申請して受け取れます。なお厚生労働省の資料では、令和5年4月の増額直後に自己負担の平均が76,819円から22,919円まで下がったあと、令和7年3月には34,961円まで再び上昇しており、出産費用が一時金の範囲に収まった分娩の割合も58%から52%へ下がっています。
Q5. 出産育児一時金は今後どうなりますか?
廃止が決まっています。令和8年法律第31号(令和8年5月29日成立・6月5日公布)により、出産育児一時金を廃止して現物給付に切り替えることになりました。分娩1件あたりの基本単価を国が設定し、保険者から施設へ直接支払われる仕組みで、窓口の自己負担はゼロになる想定です。ただし施行日は公布後2年以内に政令で定めるとされ、基本単価も併せて支給される現金給付の額も、確認日時点では決まっていません。
Q6. 帝王切開の場合、一時金とは別に給付はありますか?
帝王切開は異常分娩として医療保険が適用されるため、保険診療となった部分は高額療養費制度の対象になります。出産育児一時金はそれとは別に支給されます。加入している健康保険によっては付加給付がある場合もあるため、保険者に確認してください。
出典
本記事の数値はすべて次の公的統計の公表値です。統計ごとに調査の対象・周期・母集団が違うため、異なる統計の数値を掛け合わせないでください。
- 厚生労働省保険局「医療保険制度における出産に対する支援の強化について」令和7年11月20日 第204回社会保障審議会医療保険部会 資料2
- 厚生労働省保険局「医療保険制度における出産に対する支援の強化について」令和7年10月23日 第201回社会保障審議会医療保険部会 資料1
- 厚生労働省「健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)の概要」
- 厚生労働省「出産育児一時金等について」
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